食べ物の話【9】 伊勢市「ぎょうざの美鈴」
もし、伊勢に行って夜食事をすることになったら、何を食べたいですか。
名前からしてパッと思いつくであろうものは、伊勢海老。それなりの値段がするからな…と思う人も、海が近いから海鮮を食べたくなるだろう。
あとは、伊勢うどん。コシのあるうどんが多い関東ではあまり食べることができない、柔らかい麺。たまり醤油をかけるというのも独特だね(個人的には全然好みではない)。
他には、松阪が近いから焼肉とか。そういった選択肢になってくるのではないだろうか。
それらを差し置いて、個人的にマジでおすすめしたいのが、「ぎょうざの美鈴」さんの餃子である。
伊勢市民なら誰もが一度は食べたことがある餃子で、いわゆるソウルフード的な存在らしい。自分はたまたま、深夜のドキュメンタリー番組でここの若女将が取り上げられているのを見て、3年ぐらい前に出張ついでに行ったことを機にドハマりした。
近鉄山田線・宮町駅から少し歩いたところに本店がある。ただ、本店はカウンター席のみで予約不可。サクッと飲んで食べて帰る雰囲気があるので回転は早いけど、土日ともなるとめちゃくちゃ並んでしまう。
それを避けるためには、近鉄&JRの伊勢市駅から徒歩20分ぐらいのところに支店に行くのがおすすめ。こっちは予約ができる。GW中ではあったが、1週間前に電話したら運良く席を取れたので、18時に訪問。案の定、店の前には人がたくさんいた。
ここのすごいところは、注文を受けてから餃子の生地をこね始めること。なので当然、餃子が出てくるまでには時間がかかる。他のつまみを食べながら待つんだけど、それがまたとてもおいしい。
やさしい出汁の味がしみたおでん。骨付きの唐揚げ、クリームコロッケなどを注文。これらも美鈴さんの定番メニューだ。というかそもそもメニュー数が少なく、他はおにぎりぐらいしかない。変に悩む必要がないのもまたいい。
つまみを食べ、生ビールを2杯ぐらい飲み干した頃に、やっとお目当ての餃子が登場。皮はモチモチ。タネはほどよい肉感と香味野菜の刺激のバランスが絶妙で、いくらでも食べられてしまうやつ。
先日、東京でやっていた「クラフト餃子フェス」に行った。どれもおいしかったんだけど、一風変わったものが多かった(そりゃ、クラフト餃子だから当然なんだけど)。
でも、美鈴さんの餃子は、言い方はよくないけど「これでいいんだよ」っていう感じ。伊勢市民の生活に根付くのも納得。毎日食べたいと思う餃子って、こういう味なんだろうな。
でも、これは伊勢に行かないと食べられない。残念。みなさんも伊勢に訪れる際はぜひ立ち寄ってみて。